学生ローンのまとめ貸しについて

前のページではインターネットや看板等、広告に対する懸念を書いた。
そこで現在新たな問題として、学生ローン同士のまとめ貸しが問題となっている事も書いた。
今回はその続き書いてみたいと思う。

その前に、まとめ貸しにと総量規制の関係について説明する必要があるだろう。
貸金業法における総量規制とは、一社で50万円以上貸し付ける場合や、他社借り入れ金額との合計が100万円を超える場合に収入証明が必要となるものである。
ところが、総量規制の対象外となるものもあり、その中の一つに「債務者が有利となる貸付」というものがある。
債務者に有利な貸付とは、現在借りている債務よりも安い金利で借りられる場合などだ。
この例外処置がまとめ融資に拍車をかけた。
つまり、利用者が有利になる貸付としての大義名分とともに、以前ならタブーとされていたまとめ融資が正当化されてしまったのである。

しかし、なぜまとめ業者は債務者のターゲットを絞る事ができるのか?
こういう疑問が残る。
まとめ業者はピンポイントでターゲットを絞り、なとめを持ちかけている。
かなり効率の良い営業であるが、なぜこのような事が可能かというと、信用情報センターに登録されている信用情報を利用しているからである。
信用情報センターとは、債務者の氏名や生年月日、住所、借入金額等、債務者の情報等を一括して管理している公的機関である。
貸金業者は申し込み者の返済能力を調査する目的で、この信用情報センターを利用しなければならない。
まとめ業者はこれを利用してまとめ融資を持ちかけているのだ。
総量規制の盲点をついた手法ともいえるまとめ融資だが、当然、他の同業者からは避難のマトとなっている。

この問題の難しいところは、債務者にとっては有利な条件となるので、まとめられた方は何も文句が言えないところにある。
防衛策としては金利を引き下げる他ないが、下げればまとめ業者も下げてくるしいたちごっことなって収拾がつかない。
また、金利を引き下げる方法は、実はまとめ業者は何ら痛みを伴わず、むしろその他の学生ローンの方がダメージが大きい。
まとめる側はピンポイントでそのお客だけ金利を下げれば良いが、まとめられる方はいつ誰がまとめられるかわからない為、既存客全員引き下げる必要があるわけだ。
こうなるとまとめを防止するより、金利を現状維持した方が収益は高い。
このような事情があり、現在ではまとめ業者のやりたい放題で、手の打ちようがないのが現状なのである。

●某大手消費者金融のまとめ貸し
某大手消費者金融では、堂々とまとめ貸しを行っている。
というのも、債務者の残高をその消費者金融が払い込んでいるので、まとめられた方は一発でわかってしまうのだ。
おまけにご丁寧に電話までかかってくることがあるからすごい。
電話の要件は、契約書の返還と領収書の交付を求めるものである。
まとめ融資を実行する場合、確実に「まとめ貸し」である事が立証できないと、総量規制違反の貸付となってしまう可能性がある事から、契約書面の返還と、完済した事を証明する書類を求めてくる場合があるのだ。
まとめられる方からすれば、よくぬけぬけと電話をかけてこれるものだと思うが、法律上は正当な行為なので対応せざるをえない現状がある。

現在の貸金業界では、こうしたお客の奪い合いが熾烈を極めており、問題の是正が求められているところだ。
しかし、法律的な問題もからんでくる事から、非常に難しい問題をはらんでおり、今後の重要な課題となることだろう。